大判例

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東京高等裁判所 昭和49年(行ケ)52号 判決

一 請求原因第(一)項から第(三)項までの事実は当事者間に争いがない。

二 そこで、審決取消事由の有無について判断する。

本願考案が原告主張の1から4までの作用効果を有すること、および第一引用例から第三引用例までの各引用例の記載内容が、審決で認定されているとおりであることは当事者間に争いがない。

(一) 原告主張の1の作用効果について

この作用効果は、本願考案の屋根敷設体が「敷設対象物の面積に比較して小なる面積を有する木製の敷設素片を多数配設し、これらを縫合わせて一体的にした」構成によつてもたらされる効果であつて、敷設素片の重ね合わせの仕方とか、その縫い合わせが多数の止め釘でなされているか、糸によつてなされているかということとは直接関係がない。そして、第一引用例のコロシートと名付けられた屋根敷設体も右の構成を有することは、その記載内容に徴し明らかである。したがつて、第一引用例のものにも原告主張の1の作用効果と同じ作用効果があるということができる。

因みに、成立に争いのない甲第一号証によれば、第一引用例には「細かい薄板片を打ちつける土居葺工事は手間がいるので労力不足の現代では嫌われる形となる」、「この製品は従来の屋根板を機械で縫製、胴返し五坪、三板葺四坪とし、一巻ずつ樹脂の袋入りにして東京に輸送売出したもので、取扱いは極めて簡単、丸められているのを拡げて打てばトントン屋根はたちまち出来上るという便利なもので」、「作業の簡易化と共に大いに歓迎されるものと見られる。」との記載があることが認められ、これによれば第一引用例のものにも本願考案の右作用効果と同じ作用効果があるということができる。

(二) 原告主張の2の作用効果について

この作用効果は、木製の敷設素片が小なる面積を有するという構成によつてもたらされるものである。第一引用例のものも、前記のとおりその木製の敷設素片は小なる面積を有するという構成のものであることは、その記載内容に徴し明らかである。したがつて第一引用例のものも原告主張の2の作用効果と同じ作用効果を奏するということができる。

(三) 原告主張の3の作用効果について

第二引用例に、屋根葺きにおいて多数の木板素片をその一部分を互に前後左右に重ね合わせてその重なり部分が三重以上になるような配設する技術が示されていることは、その記載内容に徴して明らかである。したがつて原告主張の3の作用効果は、第二引用例の技術内容を本願考案に適用することによつて当然予測されうる程度のものというべきである。

(四) 原告主張の4の(1)から(7)までの作用効果について

(1)の作用効果は、前記(一)で指摘した構成による効果と認められる。したがつて、前記(一)で述べたのと同じ理由により、第一引用例のものにも当然認められる効果である。

次に、(2)から(7)までの作用効果は、多数の素片を第一引用例におけるように止め釘で縫合せずにナイロン糸で縫合することによるものである。

ところで、第三引用例に小幅中板をビニロン糸を用いて連続して縫い合わせ、一枚芯にすることが記載されていることは当事者間に争いがなく、また成立に争いのない甲第三号証の一ないし三によれば、この一枚芯はベニヤ板の芯板としての用途に供されるものであることが認められるから、第三引用例はその構成からみると、多数の木板素片を連続してビニロン糸で縫い合わせて所要の大きさの板状体を形成するという技術思想が示されているということができる。また、本件においてナイロン糸とビニロン糸とで作用効果に相違があると認むるに足りる証拠はない。そうすると(2)から(7)までの作用効果は、第三引用例に示されている技術思想に基づき当然予測されうる程度のものというべきである。

三 以上により、原告の主張はいずれも採用しがたい。よつて、原告の本訴請求は理由がないから棄却する。

〔編註〕 本願考案の要旨は左のとおりである。

敷設対象物の面積に比較して小なる面積を有する木製の敷設素片1をその一部分1′を互に前後左右に重ね合わせて多数配設すると共に該敷設素片1.1.…………の各々の重ね合わせ部をナイロン製糸2等により縫い合わせて一体的にした木造建築等に於ける屋根の敷設体

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